認知症予防に「リチウム」が効く? 新たな治療法を探る「パイロット研究」の意味
物忘れが気になり始めた高齢者の認知機能低下を、古くからある気分安定薬「リチウム」で防げるかもしれない。そんな期待を込めた初期段階の臨床試験(パイロット研究)の結果が、2医学誌『JAMA Neurology』に発表されました。決定的な「効果あり」という結論には至りませんでしたが、新しい治療法を生み出すために、こうした地道な研究がいかに重要であるかを解説します。
山田悠史
2026.04.01
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認知症の一歩手前「MCI」とリチウムへの期待
軽度認知障害(MCI)は、記憶力などに少し低下が見られるものの、日常生活には支障がない状態のことを指し、健康と認知症の中間段階にあたります。近年、アルツハイマー病の発症メカニズムに「脳内のリチウム不足」が関わっている可能性が動物実験で指摘され、リチウムを補うことが脳の神経を保護し、認知機能の低下を遅らせるのではないかと注目を集めてきました。
これを検証するため、米国ピッツバーグ大学の研究チームは、MCIの高齢者80人を対象に臨床試験を行いました。参加者を2つのグループに分け、一方には低用量(1日150〜300mg)のリチウムを、もう一方には偽薬(効果のないプラセボ)を2年間にわたって毎日飲んでもらい、記憶力や脳の容積の変化などを詳しく調べました。
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