「人生最初の1000日」の砂糖摂取が、70年後の認知症リスクを変える?
認知症の予防といえば、中高年になってからの運動や食事を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、イギリスの約6万5000人を分析した新しい研究は、母親のおなかの中にいた時期から2歳ごろまでに砂糖が制限されていた人ほど、成人後の認知症の発症が少なかったと報告しました。「自然の実験」と呼ばれる特殊な歴史的状況を利用したこの研究の中身と、私たちが知っておくべき読み方を解説します。
山田悠史
2026.09.30
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1953年9月、イギリスで起きた「自然の実験」
第二次世界大戦中の1942年、イギリスでは砂糖やお菓子を含む食料の配給制が始まりました。この砂糖の配給は戦後も続き、1953年9月に突然終わります。配給が終わると、国全体の砂糖の消費量は1年余りで5割以上増えました。一方、脂質やほかの食品の消費はほとんど変わらず、総カロリーの増加も5%程度にとどまっていました。
つまり、この時期に生まれた子どもたちは、生まれた月の違いだけで「幼少期に砂糖が制限されていた人」と「制限されなかった人」に、いわば偶然に分かれることになります。研究者の意図で人を分けたわけではないのに比較ができる、この状況を疫学では「自然の実験」と呼んでいます。
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