加速する高齢化と揺らぐ老年医療──迫り来る「専門医不足」の波

今回は、私が専門とする「老年医学」の医師不足について取り上げます。
山田悠史 2025.03.31
読者限定

近年、こちらアメリカでも高齢化が急速に進んでおり、65歳以上の人口は2050年までにおよそ8200万人に達すると予測されています。こうした状況下で注目されるのが、高齢者の医療を専門とする「老年医学」の医師不足です。今回はそんな問題を取り上げた記事をご紹介します。

アメリカが直面する深刻な高齢化の現実

Business Insiderの記事によれば、老年医学を専門とする医師の数は、かつて1万人に上ったのが、今では約7400人にまで減少しているといいます。その一方、今後の需要を考えれば、3万人が必要になると推定されており、現在の医療システムはすでに歪みをきたし始めています。多くの病院や診療所が、限られたマンパワーの中で数多くの高齢患者を抱え、予約待ちリストが数カ月単位で埋まってしまうところも珍しくありません。著者の私自身、そうした現場で働いていて、身近に感じている問題ですが、このような事態は、老年医療現場の負担を今後もますます増大させ、ケアの質低下を招きかねない大きな課題となっています。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、1575文字あります。
  • 敬遠される老年医学の専門性と複雑さ
  • 日本はさらに深刻
  • これからの高齢社会を支えるために
  • 参考文献

すでに登録された方はこちら

提携媒体・コラボ実績

読者限定
アルツハイマー病の診療が変わるーFDA承認の血液検査がもたらす未来
読者限定
コロナ感染で“脳の老化”が2年分進む?
誰でも
【必読】認知症になる人、ならない人
読者限定
【年間10万人の衝撃】CT検査の氾濫が生む“将来のがん”
読者限定
【衝撃】血液検査が切り拓く新時代のアルツハイマー病早期発見法
読者限定
「スマホ習慣」が脳を救う?驚くべき意外な研究結果
読者限定
コーヒーの淹れ方が心臓の健康を左右する?ディテールがモノを言うかもしれ...
読者限定
アルツハイマー病遠隔診療の可能性と落とし穴