【年間10万人の衝撃】CT検査の氾濫が生む“将来のがん”

今回はCT検査とその被曝について解析した研究をご紹介し、解説します。
山田悠史 2025.05.07
読者限定

近年、CT検査は診断能が飛躍的に向上し、急速に普及したため、米国では2023年に6,151万人に対し、約9 300万件もの検査が実施されました(1)。人口あたりになおすと、1000人あたり約280件となり、数字の大きさがより実感しやすいかもしれません。これは実際、世界でもトップレベルの頻度です。しかし、そのリスクからも目を背けることはできません。CT検査で用いられるX線は、細胞の損傷や遺伝子の突然変異を起こすのに十分なエネルギーを持つ「イオン化放射線」に分類され、「既知の発がん性物質」として扱われているのです。

今回ご紹介するSmith-Bindmanらの研究(1)では、このCTの撮像回数から被曝量を割り出し、この被曝が米国国民の発がんにどの程度寄与するのかを推計しています。

検査氾濫が招く10万件超のがんリスク

この記事は無料で続きを読めます

続きは、1670文字あります。
  • 日本では――適正化への道標
  • 参考文献

すでに登録された方はこちら

提携媒体・コラボ実績

読者限定
認知症介護者は将来の認知症リスクが高い? 米国の研究が示す、介護者の見...
読者限定
【解説】身近なアレルギー薬に思わぬリスク? 長期服用後の中止で激しいか...
誰でも
【本日発売】あなたのその習慣、認知症リスクを上げているかも? 新刊『認...
読者限定
【要注意】米国でもコロナ「NB.1.8.1」を確認、症状や重症化リスク...
サポートメンバー限定
冬の2大感染症に朗報!夢の「同時予防ワクチン」、その実力とは?
読者限定
アルツハイマー病の診療が変わるーFDA承認の血液検査がもたらす未来
読者限定
コロナ感染で“脳の老化”が2年分進む?
誰でも
【必読】認知症になる人、ならない人